ニューカッスル&リーズが採用する「4-5-1」の守備 鍵は「3センターの連動」にアリ

考察

連動しない3センターのプレスの危険性

フォーメーションに関わらず、相手ボールホルダーに対しては裏ケアを優先しなければならない時を除き、常に適切にプレスをかけて制限することがディフェンスの基本的なセオリーであります。
しかし451の場合、1トップ周りのスペースが空きやすく、そこに相手ボールホルダーがいる際にどのようにケアするかがポイントになります。
CMが出てプレスをかけ、それに連動するようにアンカーがスライドすることで一時的に442ブロックのような陣形になることで適切にボールホルダーとスペースをケアすることができます。

しかしプロサッカーといえど、そこまで忠実なゾーンディフェンスを構築できるチームはなかなかいないというのが現実です。
つまり、連動するというゾーンディフェンス的なセオリーのもとにチームが動けるのであれば、CMが出ると言う判断で正しいかと思われますが、そうではなく「連動なし=結果としてブロック形成を優先しなければならない場合」では、CMは出ない方がベターであると考えます。

このリーズの失点シーンでは右CMがプレスに出てしまったことでリーズのバイタルエリアがさらされている格好になってしまっています。この時にアンカーのアンパドゥがゾーンディフェンス的なセオリーでスライドを行い、連動することで442のような並びになることでバイタルをケアすることができていたなら、この失点シーンを回避またはもっとも危険な最短ルートからは迂回させることができた可能性は高かったと思われます。
しかし、リーズはそのようなゾーンディフェンス的な連動を仕込んでおらず、アンカーのアンパドゥはステイしており、結果として右CMの飛び出しがバイタルエリアをさらすポジショニングになってしまい、失点につながってしまいました。

この辺りは、ゾーンディフェンスのノウハウがないか、仕込む時間がないのかクラブの内部情報まで探ることはできませんが、そのチームの原則としてブロックを優先するとなっている場合は、ブロック前の相手ボールホルダーからの展開は抑えづらいということは共有した上で、ブロックの形成を優先すべきであったと思います。
CMがステイした結果として、そこからの展開で失点につながったとなった場合はチーム原則として妥協的に仕方のない失点である割合が高いと割り切ることができると思います。


・ゾーンディフェンスを忠実に再現する理想的なディフェンス
相手ボールホルダーへ
CMがプレスに出る」 >「CMはステイする」

・ゾーンディフェンスの再現に限界がある現実的、妥協的なディフェンス
相手ボールホルダーへ
「CMがプレスに出る」 <「CMはステイする

連動する3センター…も

ニューカッスルの失点シーンでは、同じく左CMが飛び出したことで、その背後のバイタルエリアを突かれたことで失点につながっています。
ニューカッスルディフェンスは1つ目のリーズのディフェンスとは異なり、3センターが人についていった結果として、自然とスライドができており、442のような陣形が築くことができていますが、ボランチ化した右CMギマランイスの背後にいた選手を使われて失点に至っています。
このシーンに関しては、ギマランイスが時間帯的に試合終盤で疲れや集中力が途切れてしまう場面であったかもしれませんが、あともう少しで一点のリードを守り切り、アウェーゲームで勝ち点3を持ち帰ることができた場面であったことを考えると迂闊だったという評価になってしまうかもしれません。
もっとも、この場面はレバークーゼンのグリマウドのプレーも秀逸でありました。グリマウドは相手ボランチのトナーリが背後からプレスにくることを察知して、スルーを選択しそのボールがバイタルに位置していたマザに収まり、見事なワンツーからグリマウドがゴールをあげています。
この時に、ニューカッスルディフェンスはトナーリがグリマウドにタイトにプレスかけて、周辺を含めた「ハマり」の状態になっていました。このハマりの時には味方との連携で前進を図るリレーショナルプレーがその対応オフェンスとして効果的であります。
相手がプレスをかけてくる推進性を逆手にとり、入れ替わるようにゴール方向にライン越えを行う、そのメカニズムが凝縮された、リレーショナルプレーがうまく再現されたシーンであったと結論づけることができます。

まとめ

1つ目のリーズの失点シーンがCMの飛び出しによってバイタルをさらしてしまったことを主因として失点につながったのに対して、2つ目のニューカッスルのディフェンスはスライドする3センターがうまくバイタルをケアしかけていたものの、グリマウドがそれを上回るオフェンス戦術でこじ開けた、比較的質の高い攻防でした。

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